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はじめてのプリント基板製作(失敗から学ぶ編)

初出:2004/04/18, 追記:2006/03/17

はじめに

本記事は、アマチュアの、感光基板のエッチングでプリント基板を作ってみた 時の失敗の記録です。

この記事を書いたときには失敗したのだが、コミックマーケットで 国民機起動音発生装置 PiPoを頒布するためにプリント基板の作成が必須となり 数をこなすうちにほぼ失敗無く作成できるようになった。

そこで、最初に記事を書いた後で得られた経験を注記として追加した。 参考になれば幸いである

#"基/板/作/成"とかでぐぐると結構上位にくるので、 なんとかしなきゃとは思っていたのですが、 やっと重い腰を少し上げました。(^^;

##メモのせいで余計に無駄に上位に出るので、上記あえて検索避け修正

アドバイス

過剰は救えるけど、不足は救えない!

切れたパターンを繋いで修正するのはなんとかなるけど、パターンがあちこちで 繋がった基板の修正は困難だから。

露光不足、現像不足、エッチング不足、どれも後での修正はほぼ無理。

発端

ゲーム機をRGB出力化改造する際に、RGBバッファアンプは万能基板で 作っていたのだが、一念発起してプリント基板を作ってみることにした。

用意するもの

エッチング液などは秋葉原の千石電商でそろえた。

処理

手順

  1. 回路図を作成し、基板パターンを作成する
  2. 基板パターンを印刷する
  3. 基板パターンを感光基板に焼き付ける
  4. 感光基板を現像する
  5. 現像した感光基板をエッチングする
  6. エッチング液を処理する
  7. 基板に穴をあける

回路図・基板パターン作成

回路図の作成および基板パターン作成には Eagleを使用した。

回路図 基板パターン

基板パターン印刷

印刷にはマイクロドライプリンタMD-5500を使用した。MDプリンタの黒は 非常に鮮明かつ光の透過率が低いため、露光用マスクの作成には最適である。

今回使用する感光基板は75mm×100mmで、RGBバッファアンプは4つ同時に 作成できる。今回は、Eagle上でパターンをコピーする方法が見つから なかった(回路図の方も4つ回路を作ればいいのだが、パターン作成の 作業を4回分繰り返す必要がある…)ので4枚プリントしてのりで 貼り合わせるというアナログな方法を用いた。

露光用マスク

Eagleでパターンをコピーできなかったのは、回路図を開いていたために パターンだけを修正することができないためだった。

回路図の方を閉じてしまえば パターンをコピー&ペーストしたりなど好き勝手にいじることができる。

露光

感光基板を遮光袋から取り出し、マスクパターンを印刷したフィルムを 上に載せ、さらにその上からガラス版で押さえ、蛍光灯で20分間露光した。

後に、サンハヤトの ちびライトを購入した。 可視光の蛍光ランプだと20分ほどかかったのが7分ぐらいで露光が完了し、 とても便利である。

「ちびライト」は千石通商でも6200円ほどとそれなりにお高い買い物になるが、 電池式の蛍光灯+適合するケミカルランプならば安上がりでそれなりに使える 露光器具を組むことができるかもしれない。ダイソーで4W蛍光管を使う蛍光灯が 420円で、ケミカルランプは500円程度である。

現像

露光が完了したら、スプレー式現像材を用いて現像する。

光に当たったところが洗い流され、パターンが残る

現像済みPCB

お湯に溶かす現像材は準備がちょっと面倒だが、簡単にむら無く現像できる点で スプレー式現像材よりも楽なので、いまはもっぱらそちらを使っている。

エッチング

エッチング袋の説明通りにエッチングする。

廃液処理

銅がとけ込んだエッチング液は有害なので、付属の廃液処理剤で処理する。

エッチング袋を用いたエッチングの場合、お湯と混合してエッチングを 行うので、エッチング液の再利用はできない。

穴あけ

ドリルで穴をあける

穴をあけたPCB

Eagleを使う場合、印刷する前に File > Run "drill-aid.ulp" を行うと、 穴あけの際の位置決めがとてもやりやすくなる。

レジスト除去

無水エタノールでレジストを除去する

PCBレジスト除去後

スプレー式現像材ではなくお湯に溶かすタイプの現像液を使った場合は、 基板全面に紫外線を当てて感光させてからもう一度現像液に漬けると、 エタノールなどよりも楽にレジストを除去できる。

結果

以上でプリント基板は完成したのだが、導通チェックを行うと、 どこもかしこも繋がっていた。エッチング不足でパターンの間に薄い 銅があると考えて、ピカールで磨いてみたのだが…。

磨き上げ後

拡大すると

拡大写真

薄いどころか、ちょっとしか溶けてない。これじゃぁ、 どこもかしこも繋がっているはずである。_| ̄|○

と、いうわけで、はじめてのプリント基板製作は失敗に終わった。 後日再挑戦といきたい。

失敗の原因はエッチング時間の不足である。慣れていないために、エッチングが 十分に行われた状態がわからなかった。

目安としては、マスクされていない部分の銅が完全に溶けて基板の地色が見えれば エッチングは十分である。

慣れていないうちは、エッチング液の消耗などは考えずにベタアースはしない方が エッチング状態を見極めやすいだろう。

しかし、穴あけの手間まで考えると、RGBバッファアンプにプリント基板を 使う意味はあまり無いような気がする。手間が減るどころか、余計に増えて るっぽい…。単純な回路では、万能基板で十分だな。

慣れれば、パターン作成・印刷・露光・現像・エッチングは簡単に 手早くできる。ある程度以上の規模になれば部品間を配線しなくても いいという点では万能基板を使うよりも楽である。

ただ、穴あけには手間がかかる。いっそ表面実装部品だけを使うのも手であるが、 表面実装部品が個人向けではあまり売ってないのが少々厄介。ただ、近頃は Web通販でも少量のチップ抵抗・コンデンサ等を買えるので、状況はだいぶ 改善した。

注意

当記事は正しいことを書くように心がけて記述してはおりますが、 勘違い・間違い・うっかりミスなどが混入しているおそれがあります。 当記事を参考にして行った工作などの結果について、 爆竹銃はいっさい責任を持ちません。

当記事の内容に間違いなどがありましたら 掲示板にて報告していただけると幸いです。

何か質問などがありましたら 掲示板に書き込んでいただければ、気がつき次第お返事いたします。

参考文献

籠屋 健, かんたんプリント基板, http://www.paken.org/aaf/kiban/kiban.html

履歴・著作

2004/04/17〜18:基板作成

2004/04/18:ページ作成

2006/03/17:注記追加

2009/10/12:注記をほんのちょっと追加

2009/11/03:Google AdSense をつけてみた

@自分自身のためのものづくり by 爆竹銃