(PC Engine Duo-RX RGB mod)
工作難易度:難, 部品入手難易度:普通
PC EngineのRGB出力化改造は、その昔「バックアップ改造テクニック」が あった時代からの定番改造である。しかし、その信号の電気的性質に関しては あまり注意が払われてこなかった。
これは、多くのゲーム機改造に共通のことだが…。 そして、本Webサイトの記事も例外ではなかった。orz
HuC6260からの信号は、実は約4.2V〜5Vの0.8Vp-pであり、 そのまま単純に出力すると0.7Vp-pの信号を想定した機器でレベルオーバーとなる。 以前に誰かのWebサイトでPC EngineのRGB出力は階調が落ちているというような 記述を見かけたことがあるが、これが原因だったと思われる。
本記事では、PC Engine Duo-RXを例に取り、75Ω終端時に正しく0.7Vp-pとなる RGB出力化改造の例を紹介する。
HuC6260のRGB信号はとても「弱い」。
どのぐらい弱いかというと、
トリガはV-SYNC。1ラインの間は大丈夫だが、1フィールドの間に ふらつく。また、RGB各8階調なのだが1にあたるレベルが怪しくなる。
信号が4.2〜5Vだから4〜5mA流れちゃうので、そりゃ重めの負荷だよなぁ。 AC結合してやりゃ直流分の負荷はなくなるが…。
まぁ、そりゃそうか。
…というわけで、一旦エミッタフォロアのバッファで受けてから抵抗で分圧し、 NJM2267に入力することにした。
ゲイン1.75倍(0.7/0.8*2)のアンプを組めばいいじゃん、と突っ込まれそうだが、 ビデオ帯域で使える高速オペアンプって案外入手しにくいとか、 HuC6260からの4.2V〜5Vの信号を扱うのが厄介とかの理由でこの方法を採用。
エミッタフォロアの発振対策はしたつもりだけど、 うちにある機材では発振していても知る術がない…。
Eagleでごりごりと描いて…
こんなのを作成
Eagle用データを置いておきますので、 好きに使って下さい。私の手持ち部品用になっていますので、お手持ちの 部品に合わせていじって下さい。ちなみに、サンハヤトの10K基板で4枚取れる ように配置してあります。
万能基板でも十分組める回路ですが、私は電源とGND周りとかが面倒とか 組み立てるときに「足をこっちに曲げて…」とか考えるのが面倒とかの理由で 基板を起こしました。
基板を作る機材なんてないとかいちいち基板を作るのめんどくさいって人は、 万能基板で組みましょう。
それなりの容量の電解コンデンサを適当に
私は余っていた22uFを使用。 そんなに食う回路じゃないからたぶん大丈夫…。
0.1uFぐらいのチップセラコンを適当に
定番2SC1815でおっけー
分圧比が0.7/0.8になる組で。私は150Ωと1kΩを使用
RGBで比率が違うと色が変わる恐れがあるので、誤差5%品を使う場合は 選別して近い値のを使うこと。面倒なら誤差1%品を使うべし。
定番ビデオ信号用アンプ
RGB信号を扱うのには色々向かない点があるけど、秋月・千石・若松等々 で買える入手しやすさと扱いやすさが魅力。
私は4.7uFの電解コンデンサを使用
PC Engine側が3.2V〜3.9Vとなるため、NJM2267側を負極とする。
1MΩぐらい
私はチップ抵抗を使用
NJM2267のサグ補正を使わない場合はそれなりにでかい(220uF〜)のを
私は1000uF(耐圧6.3V)の電解コンデンサを使用。サグ補正を 使わなかったのは、100uFと22uFの計2つよりも1000uF一つの方が 基板上の専有面積が小さいから。
75Ω金属被膜
写真は、順に測定風景・トリガH-SYNC・トリガV-SYNC。 0.5V/div、上が入力で下が出力。
終端側で0.75Vp-pになりそうな気配だが、何故…? NJM2267の電圧利得誤差だろうか?
PC EngineをRGB出力化改造する際には、元々のDIN5ピンコネクタをDIN8ピンに 交換すると、筐体に新たな穴を開けたりすることなくRGB信号を外に出せる。 また、この改造の場合、元々のAVケーブルはそのまま使用できる。
before
after
半田吸い取り器でピンの半田を吸い取るよりも、半田をピン全てを 覆うようにもりもり盛って全体を加熱してやる方が、簡単に抜ける。
DIN5ピンのコネクタの補強用金具(?)をDIN8ピンに移植。
また、DIN8ピンコネクタの5ピンのには無いピンの基板側を切っておく。
HuC6260の47,49,51ピンからG,R,Bが出力されている。
ピンに直接線を半田付けして信号を取り出す。配線には単線を使うのが楽。 というか、より線だと辛い。
Duo-RXの場合、近くにあるコンデンサが配線作業時にすごく邪魔なので、 作業前に一旦取り外すと楽。10uFのごく一般的な電解コンデンサなので、 手持ちがあれば元のを再利用することは考えずに足を切ってしまうと外すのが楽。 後でちゃんと戻すのを忘れないこと。
Duo-RXの場合、HuC6260の電源周りが弱いようで+5Vがややふらつき、 それに伴ってRGB信号もふらつく。そのふらつきは画像に現れるのに十分であり、 対策が必要。
やや長期的な電力供給不足であり、大きめのコンデンサの追加が効果的。 1uFではあまり効果が無く、10uFの積層セラミックコンデンサを追加したところ 電源とRGB信号のふらつきが解消された。
かなり乱暴な追加のしかただが、うまくいっているのでよしとする。 手に入ったのが耐圧25Vのだったのでえらくでかいが、耐圧が低ければ もっと小型のがあるだろう。
HuC6260・バッファアンプ・DINコネクタを配線する。
バッファアンプのGNDはHuC6260のピンから取るのが楽で確実。 電源は+5Vを作っている3端子レギュレータ7805のすぐ近くから引っ張った。
Duo-RXの場合、Huカードの差し込み口の上がバッファアンプを 置くのにちょうどいい場所である。
CPS-14F1(MSX用RGBモニタ)に映し出されたR-9の勇姿
細かいところまで色々書きましたが、おおざっぱなところも多く、 「わかる人」向けの記事になってしまいました。ある程度の知識経験がある人には この記事で伝わると思いますが、「初心者」にはきついかと思います。
当記事は正しいことを書くように心がけて記述してはおりますが、 勘違い・間違い・うっかりミスなどが混入しているおそれがあります。 当記事を参考にして行った工作などの結果について、 筆者:爆竹銃はいっさい責任を持ちません。
当記事の内容に間違いなどがありましたら 掲示板にてお知らせいただけると幸いです。
何か質問などがありましたら 掲示板に書き込んでいただければ、気がつき次第お返事いたします。
先達達の文献色々
2006/06/19:記事作成
@自分自身のためのものづくり by 爆竹銃